検査部
当院の検査部は検体検査7名、生理検査6名、病理検査5名の18名で日々の検査を行っています。各学会認定資格の取得にも力を入れており、認定輸血検査技師1名、認定血液検査士1名、超音波検査士4名(消化器・循環器・表在領域)、細胞検査士4名が在籍(2020年4月現在)しており、質の高いチーム医療を提供できるよう努力しています。また、24時間体制で救急医療や緊急検査・輸血検査に迅速に対応するよう努めています。
生化学・血液検査科
検体検査では血液検査、生化学検査、免疫検査、一般検査、輸血検査などの検査を行っています。外来検査のほとんどは診療前検査の依頼であり、検査結果を遅滞なく報告できるよう心掛けています。また、朝の混雑を避けるためフレックス制を導入して早朝の入院検査を行い外来や検診の検査とピークが重ならないようにする事で迅速な報告が出来るよう努めています。各種精度管理事業にも積極的に参加し、精度の保持に反映させています。
(生化学自動分析装置)
(多項目自動血球分析装置)
(全自動輸血検査装置)
生理検査科
生理検査室は心電図や肺機能検査、超音波検査、動脈硬化検査、神経機能検査、聴力検査など、患者さんと接しながら検査を行う場所です。
私たちは検査の質を向上させるために日々勉強を重ねており、常に患者さんが安心して検査を受けられるように心がけています。
心電図検査
胸部を出していただきますので脱ぎ着のしやすい服装でお越しください。
・安静時12誘導心電図検査
心臓が動くときに生じるわずかな電気信号を波形に現すことで不整脈や狭心症、心筋梗塞、心肥大などが発見できる検査です。
所要時間は5分程度です。
・ホルター心電図検査
24時間の心電図を記録し、普段の生活の中でおこる心拍数の変化、不整脈の発生頻度や虚血性変化などを調べる検査です。
機器装着時間は15分程度です。
翌日同時刻に来院していただき機器を外します。外す所要時間は5分程度です。
・マスター運動負荷心電図検査
2段の階段を昇り降りしていただき、運動の前後の心電図の変化を調べます。
安静時では認められない不整脈や狭心症などの心疾患の診断に用います。
所要時間は15分程度です。
・トレッドミル運動負荷心電図検査
医師立ち会いのもと、心電図と血圧を測定しながらベルトコンベアの上を歩いていただき、心臓に負荷をかけていきます。安静時心電図では判定が難しい狭心症などの虚血性心疾患の診断やどのくらいまで運動できるかを判定する検査です。
所要時間は30分程度です。
呼吸機能検査
いろいろな呼吸をしてもらうことで肺の機能を調べ、ぜんそくや慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫などの病気の発見や手術前の肺の状態の確認をする検査です。また薬剤が効いているかの判定を行う薬剤吸入試験や鼻の詰まり具合を調べる鼻腔通気度試験なども行っています。
所要時間は検査項目数によって変わりますが5分~30分程度です。
・肺活量:息を最大限に吸ったり吐いたりしてもらって肺の容量を測定します。
・努力性肺活量:最大限に吸った息を勢いよく吐いてもらい一気に吐ける量を測定します。
・機能的残気量:息を全部吐いたあとに肺に残っている空気の量を測定します。
・肺拡散能:吸い込んだ酸素がどれだけ効率よく血液に取り込まれているかを調べます。
・呼吸抵抗検査:呼吸をするときに気道の空気の通りにくさを調べます。
・呼気NO検査:呼気に含まれる一酸化窒素(NO)濃度を測定して、アレルギー性の気道炎症の評価を行います。
超音波検査
検査対象部位を出しやすい服装でお越しください。
人の耳には聞こえない超音波を身体に当てて反射した音を画像化することで体内の様子を観察する検査です。非侵襲性検査なので、安全にいろいろな部位を検査することができます。
所要時間は検査部位によって異なりますが、10分~30分程度です。
・心臓超音波検査:心臓の動き、大きさ、筋肉の厚さ、弁の状態の状態などを調べます。
・腹部超音波検査:肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、脾臓などの腫瘤の有無や形態異常などを調べます。
・表在超音波検査:頚部、甲状腺、皮下腫瘤などの腫瘤の有無や形態異常などを調べます。
・血管超音波検査:頚動脈、下肢静脈、下肢動脈、腎動脈などの血管の状態や血栓の有無などを調べます。
・関節超音波検査:リウマチ関節における炎症の程度などを調べます。
・乳房超音波検査:乳腺内の腫瘤の有無などを調べます。
動脈硬化検査
動脈硬化は高血圧や脂質異常症、糖尿病、喫煙などが原因でおこる病態です。
所要時間は10分~30分程度です。
・ABI/PWV検査:手足の血圧を測定することで血管の硬さや詰まり具合を判定します。
・皮膚灌流圧検査(SPP):末梢の毛細血管の血流を調べる検査です。
聴力検査
聴力検査には様々な種類があります。いくつかの検査を組み合わせて難聴の程度やめまいの判断に役立てています。
所要時間は15分~40分程度です。
・標準純音聴力検査(AG):聞こえが正常か異常かを判定し、異常だった場合は原因を特定する材料として行います。
・ティンパノメトリー:鼓膜や耳小骨の動き具合を調べる検査です。
・SR(耳小骨筋反射):アブミ骨筋反射を調べます。顔面神経麻痺の方の部位診断に有用です。
・内耳機能検査:内耳の障害の程度を調べます。
・ことばのききとり検査:どのくらい言葉が聞き取れているかを調べます。
補聴器装着を考えている方に有用です。
重心動揺検査
検査台に1分間程度立っていただき、めまいやふらつきの原因を調べる検査です。
所要時間は10分程度です。
誘発筋電図検査
皮膚に弱い電気刺激を与え、その刺激が神経を伝わる速さを測定することで神経障害の有無や障害部位を特定します。
所要時間は20分~60分程度です。
体成分分析
身体の水分量や筋肉量、脂肪量を測定し、浮腫や肥満の程度を調べる検査です。
所要時間は10分程度です。
病理検査科
組織診断
胃や大腸の内視鏡で採取した小さな組織から手術で摘出した臓器まで、顕微鏡標本を作製し病理医が病変部の状態や原因、悪性の有無を組織診断しています。また、出来るだけ正確で早い報告が出来るように免疫染色の抗体を数多く取り揃えています。手術中の迅速組織診断や内視鏡検査室からの至急の要望にも対応しています。
細胞診断
喀痰や尿、婦人科検体など患者から得られた検体を標本にして顕微鏡下で観察し、病変の原因や良悪の判定を病理医と共に診断をしています。穿刺で病変部を採取する時は正確な診断が出来るように細胞検査士が立ち会いながら適切に処理をして採取の有無を確認しています。また、術中迅速細胞診では悪性細胞の見逃しが無いようにダブルチェックを基本としています。
(扁平上皮癌)
(腺癌)
(浸潤性乳管癌)
(乳頭癌リンパ節転移)
病理解剖
ご遺族の了承を得た上で、ご遺体を死因や病状の進行度、治療効果の判定等を目的に病理解剖を行います。解剖は病理医が行い、臨床検査技師は解剖の介助をします。病理解剖によって得られた所見は臨床医と病理医で検討し、カンファレンスを開催し今後の医学の発展に役立てています。